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語学と多言語学習のメモブログ

外国語の勉強法と,各種言語に独学で入門するための動画まとめです。

北欧の言語「ノルウェー語」の2つの主要方言,伝統的ブークモールと新語ニーノシュクの違いのまとめ。デンマーク語の影響を排除して,古西ノルド語に回帰しようとする民族運動の産物

北欧,スカンジナビアのノルウェー語には,2種類のおもな方言の違いがある。

  • 伝統的で主流派のブークモール。(デンマーク語に近い)
  • 新しいがマイナーなニーノシュク。(アイスランド語寄り)


もともとデンマークに支配されていたので,ノルウェー語はデンマーク語に近かった。


しかし民族独立の機運が高まり,脱・デンマークの運動の結果として,

新しい方言が人工的に生み出されたのだ。


注意点として,口語か,文語かという違いではない。

両方とも正式なノルウェーの文語である。


この,旧・新の2つの方言の違いを,下記で詳しく調べてみよう。

違いのまとめ

ノルウェー語の2分類:

(1)ブークモール:

  • Bokmål, 「書籍の言葉」
  • リクスモール(国の言葉)
  • 伝統的
  • 人口の9割が使用。外国人もこちらを学ぶ。
  • デンマーク語の文語をノルウェー式にしたもの。
  • 穏健派
  • 名詞の姓は2つ。


(2)ニーノシュク:

  • Nynorsk, 「新ノルウェー語」
  • ランスモール(Landsmål, 土語、田舎の言葉)
  • 人工的
  • ノルウェーの人口の1割が使用。
  • ノルウェー語の各種方言を集めて取り込んで作られた。昔の古いノルウェー語に基づき,古典的。
  • いちおう口語ではなく文語であり,正式な書き言葉という分類。
  • ノルウェー人の言語学者イーヴァル・オーセンが,言文一致活動として開始。ノルウェーが過去にデンマークに支配されていた時代の名残をなくそうとした。
  • 急進派
  • 名詞の姓は3つ。


伝統的な主流派と,マイナーな新語派がある。


日本人がノルウェー語に興味があって外国語として学ぶ場合は,

前者の主流派(ブークモール)を学ぶことになる。

デンマーク語や低地ドイツ語の影響を受けて育ってきた方言だ。


「どっちの方言が正しいのか,どっちが標準語なのか」という問題ではない。

伝統派も新語派も,両方とも正式な標準語であり,

ただ数の面では伝統派のほうが優勢だ。


参照:

ブークモール - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB

  • ブークモール(ノルウェー語: Bokmål)とは、ノルウェー語で「本の言語」の意。
    • 以前は、ブークモールの公式な名称は, リクスモール(国の言葉)といった。
  • ブークモールは(話し言葉の方言とは無関係に)人口のおよそ85~90%によって使用されている
    • 外国人のノルウェー語学習者にもっとも一般的に教えられている。
  • 伝統的にブークモールの正書法は、デンマーク語と低地ドイツ語の影響のもとに古ノルド語から何世代にもわたって発展してきたものである。
    • 対照的に、通常ニーノシュクで書かれる西海岸の方言群は、ノルウェー語のより古い形に固有な特徴を保持している。


ニーノシュク - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%AF

  • ニーノシュク または ニーノルスク(Nynorsk, 「新ノルウェー語」の意)
    • ブークモール(Bokmål, 「書籍の言葉」の意)とならんでノルウェーで公認されている文語(書き言葉)。亜種としてホイノシュク (Høgnorsk) がある。
  • イーヴァル・オーセンの始めた言文一致運動に由来
    • ノルウェー各地で話されている方言を文語に採用したもの
    • ブークモールは,もともとノルウェー語ではなく,かわりにデンマーク語の文語をノルウェー式にしたものである
  • ニーノシュクは,ノルウェー語の複数の諸方言(ランスモール)を無理に統合して人工的に作ったもの
    • 「公用語」でありながらノルウェー人の大勢が理解出来ない,と揶揄されている。


イーヴァル・オーセン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3

  • 当時のノルウェーは, 400年を超えるデンマークの支配から政治的に脱したばかり
    • 自治権だけでなく,文化的にもデンマークから独立しようとする運動が活発な時期であった
    • そのような社会情勢の一環として、言語の面でも従来のデンマークからの影響が強いノルウェー語を見直し、新しい自国の言語を持とうとする動きが出てきた。
  • この動きの中には2つの流派があり、
    • 1つは従来のデンマーク語風ノルウェー語を基盤としつつ、ノルウェー独特の語彙などをこれに加えようとするもの(後の「リスクモール」=ブークモール)
    • もう1つはデンマーク語の影響を排して、古来からあるノルウェー独自の言語を復活させようとするものであった。(=ニーノシュク)

ブークモール(伝統派)とニーノシュク(新語)では,文法が異なる

この2つの方言の間では,言い回しや発音の問題ではなく,文法も違う。


たとえば,旧来のブークモールでは,名詞の姓は2種類。

しかし新語のニーノシュクでは,名詞の姓は3つ


たいてい,後の時代になるにつれて,言語の文法は簡素化されるものなのだが

ノルウェー語の場合は逆になっている。

後にできた新しいほうの方言が,むしろ複雑さが増している,ということだ。


どうしてそうなのかというと,新語であるニーノシュクは,各地の方言をもとにしており

古典に近いから,とのこと。

ニーノシュクは,新しいが古い言葉なのだ。古典を再興させたもの。

ノルウェー語 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E8%AA%9E#.E3.83.96.E3.83.BC.E3.82.AF.E3.83.A2.E3.83.BC.E3.83.AB.E3.81.A8.E3.83.8B.E3.83.BC.E3.83.8E.E3.82.B7.E3.83.A5.E3.82.AF

  • 長年にわたってデンマークの支配を受けたノルウェーの言葉は、数百年間はデンマーク語に近かったが、19世紀に至ると民族意識の高揚とともに違いが大きくなり、独立の言語としての意識が高まった。
  • こうした歴史的背景から、ノルウェー語にはブークモール (bokmål 「書籍語」) 、ニーノシュク (nynorsk 「新ノルウェー語」) の2種があり、双方がノルウェーの公用語になっている。
    • ブークモールはデンマーク語とあまり変わらない穏健派、
    • ニーノシュクはデンマーク語の影響を受ける前の「本来の」ノルウェー語を取り戻そうという急進派である。
  • 公文書や放送では双方が使われ、また政府機関は双方を等しく受け入れなければならない。
    • しかし民間での出版では 98% がブークモール、ニーノシュクは 2%である。
  • 公式な見解では、ブークモールの名詞は通性・中性の二性を、ニーノシュクの名詞は男性・女性・中性の三つの性をもつ。


ノルウェー語のブークモールとニーノシュクの違... - 言葉、語学 | Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1075894385

  • ニーノシュクは, 言ってみれば方言の塊。完全に純粋な書き言葉です。
  • 歴史から言ったら短い歴史のニーノシュクですが、方言色の強い、古典の様なもの
    • ニーノシュクの方が素敵!と思う学生は、私の周りに多かった

ブークモール(伝統派)とニーノシュク(新語)では,言語の系統も異なる!

この2つの方言では,なんと属する言語グループも少し違う。


「北欧の言語の起源と分類」について,下記の図を見てみよう。

ゲルマン祖語

ノルド祖語(=原ノルド語。1~8世紀)

古ノルド語(=古北欧語,古アイスランド語。8世紀以降。)

東西の方言に分化。

 ・西方言として古西ノルド語(ノルウェー,アイスランド)

 ・東方言として古東ノルド語(デンマーク,スウェーデン)

西スカンジナビア語群(西ノルド諸語)

  新ノルウェー語(ニーノシュク)
  アイスランド語
  フェロー語(※フェロー諸島はデンマークの領土)


東スカンジナビア語群(東ノルド諸語)

  スウェーデン語
  デンマーク語
  伝統ノルウェー語(ブークモール)


これで,ノルウェー語のルーツがわかる。

また,ニーノシュク誕生の際には一体,何を成し遂げたかったのか?

という疑問の答えがわかるだろう。


北欧語の祖先・原型である「古ノルド語」が東西に分裂した時点で,

ノルウェー語はアイスランド語に近く,西寄りだった。

東寄りのデンマーク語とは,一線を画していたわけだ。


ところが,ノルウェーの領土は,デンマークに政治的に支配される。

その結果,伝統的なノルウェー語は,デンマーク語に近い東寄りの言語になってしまった。

西から東へ引っ張られたわけだ。


そこで,そのルーツや経緯を知っている近代のノルウェー人は,下記のように考えた。

「我々ノルウェー人は,デンマークのせいで,東寄りになってしまった。

しかしもともと,我々の言語は西寄りで,アイスランド語に近い系統だったはずだ。

デンマークの影響を捨てて,自分たちのルーツである西寄りの言語に帰ろう。」


そう考えて,新しい方言を人工的に作った結果,

新ノルウェー語はデンマーク語から距離を置き,

東ではなく西スカンジナビア語群に属することになった。


なので,ノルウェー語の2つの方言は,

それぞれ東と西の異なる言語系統グループに属する,という状況が生まれたのである。

NORWAY vs DENMARKノルウェーとデンマーク。同じ北欧語なのに、このデイレンマ。 : Nyfiken
http://nyfiken.exblog.jp/10580918/

  • 「バイキングのことわざ」という本はほとんどがアイスランド語のことわざから訳されているものが多い。
  • 貧しい漁村と思われていたノルウェーは, わずか50年前の油田開発で, いまや北欧で一番お金持ちになってしまった。
  • ノルウェーでは、デンマークの支配前に戻る国粋主義というスタイルが進んでいる。
    • 独立してわずか100年あまり。
  • 昔の古いノルウェー語に基づいたノルウェー語辞書を完成させようというプロジェクトも進んでいる。
    • デンマークの支配下で発達したデンマーク語的なノルウェー語はやめて、もともとのノルウェー語にもどそうとする急進派。


いろんな外国語⑫デンマーク語と⑬スウェーデン語-北欧3兄弟を成す言語 | Birds of Paradise | Yoshimura Tatsuya 携帯版公式ウェブサイト
http://y-tatsuya.jugem.jp/?eid=514

  • 1814年にノルウェーがデンマークからスウェーデンに「売り渡された」ような形になった時点で、ノルウェーの人々は、公式な読み書きではデンマーク語を使っていた。ずーっとデンマークの属国状態だったから。
    • だから, デンマークの束縛から逃れた時点で、ノルウェーでは、言語上でもデンマークの支配をどれだけ消せるかが重要なテーマになった。
  • そのノルウェー語化の流れが穏健か急進的かによって、「ブークモール」と「ニーノシュク」というふたつの系統ができて、現代のノルウェーではこのふたついずれもが公用語。
  • そんなわけで、デンマーク語とノルウェー語は見た目がものすごく似ている。
    • ところが、綴りが同じ単語でも発音がかなり違う。
  • 一方、ノルウェー語とスウェーデン語は、表記はだいぶ違うのに、耳で聞いたときの独特の「ふにゃふにゃ感」は、かなり似通っている。


伝統派と新語派,この2つの方言で激しく争った結果,

どちらかに統一することは不可能だった。


片方を選ぶことはできなかったし,混ぜ合わせて一つにすることも失敗した。


そのような経緯を経て,この問題は放置されることになり,

2つの公用語が同時に共存することになった。

ほっこりしない北欧案内(執筆者・ヘレンハルメ美穂) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20140616/1402873758

  • ノルウェー人はスウェーデンにコンプレックスを抱いている
    • スウェーデンには「ノルウェージョーク」と呼ばれるジャンルのジョークがあり、ノルウェー人がいかに素朴で間抜けかを笑う内容。
  • いまのノルウェー語は、もともとデンマーク語の書き言葉にノルウェー語的な要素を取り入れた、ブークモールと呼ばれる言葉が主流
    • ノルウェー語の書き言葉は,デンマーク語にそっくりで, ぱっと見ただけじゃ見分けがつかない
  • 1814年にノルウェーがデンマークから独立したとき、ノルウェー語の書き言葉を確立しようという動きが高まった。
    • デンマークの影響を受けたブークモール派と、西ノルウェーに住んでいた独学の言語学者が体系化した、デンマーク語の影響を排したニーノシュク(「新ノルウェー語」)派の二陣営に分かれて、激しい論争が繰り広げられた
    • 政権に就いた保守党は, もうこの論争を放置してしまって、それでいまだに2つ、公的な書き言葉が認められているという状態
  • 全国での使用比率は、ブークモール:ニューノシュク=9:1
    • いまでもニーノシュクをメインに採用している自治体は、西ノルウェーの田舎の人口の少ないところ

利用率・シェアを比較すると,9対1で伝統的ブークモールが優勢。だがニーノシュクも外せないポジションにある

どっちを学ぶ方が役に立つかと言えば,それは当然ブークモールだ。

ノルウェー語(ブークモールとニーノシュク)について教えてください! - ... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11121306856

  • 観光地や,目にする限りの新聞・雑誌・書籍等はブークモール


ただし,パスポートにはブークモールだけでなく,ニーノシュクの表記もある。

またネットで読む記事の内容も,ニーノシュクで書かれたものがある。

さらにスウェーデンではニーノシュクのほうが理解してもらいやすい。


そんなわけで,ニーノシュクを完全に無視することもできない。

化学系研究者の英語・ドイツ語翻訳者としての歩み ノルウェー語の記事を読む前にブークモールかニーノシュクの確認をしよう
http://marburgaromaticschem.blog3.fc2.com/blog-entry-1817.html

  • デンマーク語に近いブークモールと、ニーノシュクの2種類が公用語である。
    • パスポート表紙には、国名はブークモールのNORGEと、ニーノシュクのNOREGが併記されている。
    • また、ノルウェー政府HPではブークモールとニーノシュクの両方で文書が公開されている
  • ブークモールの使用人口の方が多いので、外国人学習者はブークモールを勉強する方が便利。
    • ただ、ニーノシュクも同等に扱われているため、書き手がどちらかを自由に選択できる。
    • ということで、ノルウェー語の文書を読むときに、ブークモールだろうという先入観は持たない方がよい


ノルウェー話あれこれ/アルコムワールド
http://alcom.alc.co.jp/communities/500/entries/show/47180

  • スウェーデンでは,ブークモールよりニーノシュクの方がより理解度が高い
  • デンマークではブークモールの方が理解度が高い(ブークモールはもともとデンマーク語なのだから当然)


ノルウェー国内で,いちおう2つの方言は平等という扱いだ。


しかし,それは政府による建前の話。

国民の実際の感情としては,新語ニーノシュクは評判が悪い。


学校で強制的に学ぶことになるが,学んでも役立たない・・・と思われている。

本・映画・音楽紹介
http://norwayyumenet.noor.jp/hp/kultur/bok02.htm

  • ニーノシュクの使用人口は, 西ノルウェーなどを中心に15%位
  • 高校になると、ブークモールを使用している自治体は、ニーノシュクの授業と試験が義務付けられている(逆も同様)
    • が、オスロを中心としたブークモールを普段使っている高校生たちに、このニーノシュクの授業や試験は評判が悪く、廃止論がたびたび浮上。
    • ブークモール使用者の「ニーノシュク嫌い」が確認できる。
    • 「正しくニーノシュクを書く」となると、生徒はおろか、先生まで自信が持てない。
  • ニーノシュクは、ドイツ語やデンマーク語の影響を排除するため、an-, be-, for-で始まる単語や、-het, -elseで終わる単語を、より「ノルウェー式」の単語に置き換えています。


なお,テレビなどでは各種方言が普通に使われており,あえて標準語では話さない場合もある。

ノルウェー語イベントに行ってきました | Fukuya通信
http://www.fuku-ya.jp/blog/2011/05/13/1109/

  • ノルウェーに限らず、どんな国でも近代化の際に, 方言をまとめ標準語を定めるもの。
    • 日本では,明治期に東京の山の手の言葉を基に標準語が定められた
  • 標準語を定められたときは、どの国でも聞きなれない言葉を押し付けられることに対する、心理的抵抗や不満が高まることはあるもの
    • ノルウェーの場合, その抵抗が2つの公用語を定めるまでになった
  • 公用の場では両方を使わなければいけない
    • ご利用いただきまして、誠に有難うございます。 ご利用いただきまして、まいどおおきに。 と併記されているようなもの
  • ノルウェーではブークモールとニーノシュクの二つだけでなく、各地方の方言がまかり通っていて、あえて標準語を話そうとはしない
    • テレビのお天気お姉さんも出身地の方言で、普通にアナウンスしている
    • 外国人には困惑するところ。